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これまでにあったご質問などをQ&Aにてご紹介いたします。
よくある質問Q&A
2008~2013年版 名東区クリニックガイドに掲載
Q.子どもが熱を出したのですが、解熱剤の使用に注意点はありますか?
A.解熱剤は、発熱による不快感・食欲不振・睡眠不足・体力の消耗がある場合に一時的に体温を下げて、それらの症状を軽くすることを目的に使用します。
小児に対しては、アセトアミノフェンとイブプロフェンの有効性と安全性が証明されています。
但し、感冒に伴う発熱は体が細菌やウイルスと闘っている生理的な反応であり、それらの病原体の活性を抑え、免疫機能を高める働きがあります。
よって解熱剤の使用により熱を下げることは病気の治療を遅らせる可能性もありますので、むやみには使わないほうが得策です。
また用法・用量についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。
Q.離乳食にハチミツを使わないほうがいいと聞いたのですが本当ですか?
A.乳児ポツリヌス症という病気があり、以前はハチミツが原因食品と考えられるケースがほとんどでした。生後1歳未満の乳児がポツリヌス菌の芽胞を口から摂取すると、腸管内で細菌の発芽・増殖がおこり、産生された毒素によって食中毒と同じ症状が現れます。
重症化すると呼吸障害が生じて死に至ることもあります。
1歳未満の乳児が発症するのは腸内環境が成人とは異なり、ポツリヌス菌が増殖しやすいためと考えられています。
また毒素を出すポツリヌス菌は外国の土壌に多いため、輸入食材などにも注意が必要です。
Q.生後2ヶ月ですが、ほほの内側やくちびるの裏側に、乳カスのような白い苔がついています。
A.口腔カンジダ症(鵞口瘡)が考えられます。病原性のカビの中に「カンジダ菌」があり、抵抗力が未発達な健康な新生児や乳幼児にも感染し、頬の内側や唇に白い苔状のものが認められます。
ひどいと哺乳量や食事が減ることもあります。お母さんの唾液や哺乳瓶からも感染しますので、乳首・哺乳瓶や食後の口腔内環境を清潔に保ちましょう。また気管支喘息で吸入ステロイド剤を長期使用している場合にも菌が付着しやすくなるため、吸入後のうがいや歯磨きをしっかりと行いましょう。治療としては、軽症ならミコナゾールゲルの口腔内局所投与が有効です。
Q.熱中症の治療について教えて下さい。
A.熱中症の初期対応として、まず全身状態をチェックして意識の有無を確認後に涼しい環境へ移動、そして脱衣・冷却を行います。簡便かつ効果的な冷却法には、微温水が滴る程度に濡らしたガーゼや薄いペーパータオルを体に1枚ずつ伸ばして密着するように貼り、扇風機で風を送り気化させ、水分が乾いてきたら再度スプレーすることを繰り返す蒸散冷却法が挙げられます。
顔色不良の場合は足を高くします。
また経口補水液も有効です。熱中症予防の参考として活用されると良いでしょう。
(環境省熱中症予防情報サイト: http://www.wbgt.env.go.jp/)
夏に多い子どもの病気
2007年6月20日 朝日新聞主催 「のびのびクラブ」 院長の講演からの抜粋
―夏に多い感染症について―
①夏にプールでうつることが多いためにプール熱とも言われている咽頭結膜熱があります。
5日前後続く高熱、のどの痛み、目の充血、リンパ節の腫れを主体とするアデノウイルスによる感染症です。
高熱の割りに元気な印象があります。
確定診断は、綿棒で喉のぬぐい液を取り、迅速検査キットで行います。
特効薬はありません。
発熱、のどの痛みなどの主な症状がなくなって2日後までは園・学校はお休みです。
②ヘルパンギーナという名前を耳にしたことがありませんか?
乳幼児の間で流行する夏かぜの一種で、エンテロウイルス群の感染症です。
症状としましては、2~3日続く高熱と、のどの奥に小さな水ぶくれができて痛いのが特徴です。
食べたり飲んだりができず、よだれも多くなります。ひどいときは脱水になる場合もあります。
特効薬はありません。治療は対症療法のみです。
③手足口病はご存知でしょうか?
夏に流行するエンテロウイルス群の感染症です。
その名のとおり、口の中や手のひらや指、足の裏に小さな水ぶくれがみられます。
乳幼児ではお尻や太もも、ひざやひじにも赤いブツブツができます。
手足の水ぶくれは痛がりませんが、口の中が痛くて食べられなくなることがあります。
発熱は伴わない場合が多いですが、ときに高熱が出る場合があります。
特別な治療は必要としません。
また夏かぜのウイルスは 無菌性髄膜炎の原因となる場合がありますので、発熱、頭痛、嘔吐を伴う場合は要注意です。後遺症を残すことはほとんどありません。
④伝染性軟属腫、通称(水いぼ)は、幼児から小学生に多く、テカテカした感じの丸く小さな盛り上がりです。
ウイルスによってヒトからヒトに肌を接することになる夏のプールでよくうつります。
水を介してうつる訳ではありません。
最近では温水プールに通う子が多くなって夏だけではなくなりました。
自然に治りますが、治るまでに半年以上はかかりますので、プールに入るシーズンは要注意です。
治療としては、ピンセットでの摘除や漢方薬の内服が有効です。
10個以上ある場合は漢方薬の内服などで経過をみますが、プールの季節では摘除する場合もあります。
⑤伝染性膿痂疹、通称(とびひ)は、夏に乳幼児、小児に多い病気です。
アトピーなどの湿疹や虫刺されの部位を掻き破ったところに黄色ブドウ球菌の感染により水ぶくれが生じ、急に増えていきます。
普通は発熱を伴いません。
原因がウイルスではなく細菌感染なので、治療としては抗生物質の内服と水ぶくれに抗生物質の軟膏を塗るのが有効です。
―ここからは、夏に多い皮膚のトラブルについてです―
①汗疹、通称(あせも)とは、汗が留まり皮膚に水ぶくれやブツブツを生じる病気です。
夏の暑い環境の中で汗が続いて出ているために発症します。
アトピー性皮膚炎の悪化因子となります。
また日焼け、絆創膏などの刺激も引きがねとなります。
対処法としましては、まず涼しい環境で通気を良くして汗をかきにくくすると必ず良くなります。
汗をよく拭き、エアコンを使用し涼しく、入浴、シャワーを行いましょう。
衣服は薄着にし通気を良く、綿製を用いて汗をよく吸うようにしましょう。
②虫刺症、通称(虫刺され)は、まず蚊やノミ、イエダニなど皮膚に虫の唾液が注入されることによってその唾液に対するアレルギー反応が起こり痒みや腫れを引き起こす群と、ハチ、アリ、ムカデ、毒グモなど皮膚に有毒成分が注入されることによって強い刺激反応が起こる群とに分けられます。症状が軽く、痒みだけの場合は市販の痒み止めや軽いステロイド外用薬で十分です。アトピー性皮膚炎の悪化因子となります。
③日焼けも油断大敵です。
オゾン層の破壊により紫外線も昔より強いため、将来を見越したスキンケア、 皮膚がん予防として外出時には日焼け止めクリームを塗りましょう。(子ども用の低刺激性のものもあります。)
―今年も猛暑と言われていますが、次は熱中症についてお話します。―
これまで日射病、熱射病と呼ばれていたものの総称です。
まず、めまい、頭痛、体がだるいなどの症状を訴えたら、涼しいところへ移動し、風を送り、水分補給に心掛けます。
回復しない場合やフラフラしたりボーッとしている場合は危険信号、病院へ連れて行きましょう。
倒れて意識がない場合やけいれんを起こした時は直ちに救急車を呼びましょう。
予防としては、真夏日には帽子をかぶり、風通しの良い涼しい服装をしましょう。
睡眠不足など体調不良の場合は運動を避け、汗で失われた塩分と水分を補給しましょう。
水分補給としては、経口補水OS-1 がお勧めです。
また夏かぜの場合も、のどの痛みが強いものが多いため脱水傾向に陥り易く、有効と思われます。
―また不慮の事故のケースとして―
夏の一大イベントでもある花火による熱傷や、海やプールでの溺水にも注意が必要です。貴重な子ども達の体、命を守っていきましょう。
知っておきたい子どもの病気
2008年5月21日 朝日新聞主催 「のびのびクラブ」 院長の講演からの抜粋(※一部改編)
―総論:人から人へうつる病気 (感染症) について―
感染する微生物は、主にウイルスと細菌に分類されます。
いわゆる風邪のほとんどはウイルスが原因のため抗生物質が無効です。
抗生物質は細菌感染のみに有効であって、むやみやたらに内服するものではありません。
感染部位は、主に呼吸器(咽頭・気管支・肺など)、消化器(食道・胃腸など)、皮膚に分けられます。
感染経路には、空気感染・飛沫感染・接触感染・経口感染・血液感染・媒介動物による感染が考えられます。
空気感染とは、クシャミや咳が乾いて舞い上がった物を吸い込むことで感染します。
水痘(水ぼうそう)や、麻疹(はしか)が該当します。感染力がとても強く、広範囲に広がる可能性があり、隔離・マスクの着用が必要です。
飛沫感染とは、クシャミや咳を直接浴びることで感染します。
咽頭扁桃炎、溶連菌感染症や気管支炎、マイコプラズマ肺炎、プール熱、リンゴ病、インフルエンザ、風疹、おたふくかぜなどが該当します。
病原体は約1mの距離まで飛びますので、患者さんに近づくときはマスクを着用しましょう。
接触感染とは、病原体を直接または間接的に触ってしまうことにより感染します。最も多い経路です。
ウイルス性腸炎が代表例で、ヘルペス口内炎や帯状疱疹などが該当します。マスクを着用し、手をよく洗いましょう。
経口感染とは、汚染された水や食品を口に直接入れることで感染が成立します。 食中毒、かきによるA型肝炎が代表例です。手洗い、食品の衛生管理が重要です。
血液感染は、病原体が直接血液の中に入ることによって感染します。 エイズ、B型肝炎、C型肝炎が該当します。
媒介動物による感染には、コガタアカイエ蚊による 日本脳炎などがあります。
―各論―
・生れてはじめて発熱したときによく見られる病気: 突発性発疹
突発性発疹は、高熱が3、4日続き、熱が下がると全身に赤い発疹が広がります。
高熱のわりに元気がよく、下痢を伴うことがあります。原因はウイルスなので、特効薬はありません。
そのウイルスも2種類あることがわかっており、1歳前後と2歳前後の2回かかる可能性があります。
・ 溶連菌感染症・伝染性紅斑(リンゴ病)
溶連菌感染症:A群β溶血性連鎖球菌という細菌が飛沫感染でうつり、発熱・のどの痛み・苺のように赤くブツブツの舌・手足や体の痒みを伴った赤く細かい発疹などが特徴です。
また、皮膚にも感染し、とびひの原因にもなります。潜伏期間は2日から4日です。治療としては細菌感染であるため、抗生物質が有効です。
合併症として、感染後1から3週間で 急性糸球体腎炎(症状としては、血尿やむくみなど)やリウマチ熱(主に関節や心臓の炎症)を起こすことがあります。
これらの合併症を引き起こさないためにも、抗生物質を一定期間しっかり内服することが必要です。
また、この菌には沢山の異なったタイプがあるため、何度もかかることがあります。
伝染性紅斑(リンゴ病): 両側の頬が赤くなり、腕や太ももに網目状の赤い発疹が見られます。顔がリンゴのように赤くなるので、リンゴ病とも呼ばれています。
原因は、ヒトパルボウイルスB19です。ウイルス感染なので抗生剤は無効です。
発疹が出て診断がついた時点では感染力が弱くなっていますので、集団生活には差しつかえありません。
・次に、予防接種が有効な感染症を挙げます。
―1歳になったら早めに接種するMRワクチンの麻疹、風疹について―
麻疹とは麻疹ウイルスによって引き起こされ、数年前に関東で10代、20代の若者の間で流行がみられ、社会的にも関心が深まりました。
感染力はとても強く、感染してから10日程で発熱、咳、鼻水といった風邪症状が2から3日続き、一度熱が下がるものの再び高熱となり、同時に全身に 発疹が出現します。
肺炎、中耳炎を合併し易く、患者1000人に1人の割合で脳炎もみられますので要注意です。
ではなぜ10代、20代の人を中心に流行したのか、それはワクチンの接種率の上昇により自然に感染する人が少なくなっており、それによりウイルスにさらされる機会が減少、免疫が強化されずに弱まってきている人がいることも要因のひとつと考えられます。
また、この世代の人たちの中には今まで一度もワクチンを受けていない人がいるのと、ワクチンを1回接種しても数%程度の人は十分な免疫がつかないことが知られており、その様な人たちの間で流行が起きたものと考えられています。
麻疹ワクチンを1度も受けていない方、麻疹にかかっていない方は、重症化しやすいので、ワクチンを接種すべきです。
現在、小学校入学前の1年間(幼稚園年長さん)で麻疹・風疹混合ワクチン(通称MRワクチン)2期が公費で接種可能です。
そして今年の4月よりMRワクチン3期、4期が期間限定で開始されました。
中学1年生と高校3年生相当が接種対象となります。
風疹は、風疹ウイルスの感染により、微熱と共に全身に小さな赤い発疹が出現、3日程で消えるので「三日はしか」とも呼ばれています。
また全身のリンパ節が腫れるのも特徴のひとつです。
特効薬はありません。発疹が消えたら、人との接触は可能です。潜伏期間は、2から3週間です。
―水痘(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) について―
共に1歳過ぎたらワクチン接種が可能であり、接種しておけば、かかっても軽くすみます。
※2014年10月より水痘ワクチンが定期2回接種となります。
みずぼうそうは、水痘ウイルスによる感染症で、発熱と共に痒みを伴う赤い水疱のような発疹が、お尻やお股、髪の毛の生え際などに出現、全身に広がります。
全部かさぶたになるまでは、人と接触ができません。
有効な抗ウイルス薬がある数少ない病気のひとつです。
潜伏期間は2週間です。
おたふくかぜは、耳の下や顎の下にある唾液腺が腫れて、あたかも「おたふく」のような顔になるためそう呼ばれています。片方だけの腫れで終わる場合もありますが、ひどく腫れて痛くて物が食べられなくなることもあります。
特に固いものや、酸っぱいものは痛みが増しますので控えましょう。
※発症後5日間は、お家でお休みとなります。
ムンプスウイルスの感染によるもので、潜伏期間は16~18日です。
合併症として 髄膜炎、膵炎、難聴が要注意です。中でも難聴の発生頻度は、200~600人に1人との報告もあり、回復しないので現在、問題視されています。
髄膜炎の症状は発熱、ひどい頭痛、吐き気などで、膵炎はひどい腹痛を訴えます。
ワクチン接種の重要性が謳われています。
―日本脳炎 について―
日本脳炎は大変怖い病気です。
現在、東南アジアを中心に年間3~4万人のかたが 日本脳炎でなくなっています。
患者さんの1/3はなくなり、1/3は後遺症を残し、回復するのは僅か1/3です。
日本脳炎に感染している豚の血を吸ったコガタアカイエカが人間を刺すことにより感染します。
症状の発症する割合は10万人に0.02~0.03人にすぎず、大多数は症状を認めません。
(感染者の1000~5000人に1人が脳炎を発症すると考えられています。)
日本の豚では50~80%が、 日本脳炎にかかったことがあることが分かっています。
養豚場のそばの暗く湿ったところ(水田など)は蚊の発生源ですので要注意です。
わが国では、平成11年から18年までの 日本脳炎感染者は45名報告されています。南日本が多いのですが、静岡からも報告があります。
具体的には、現行のワクチン接種、虫よけの薬、東南アジアなど流行地域へは旅行しない、夏でも長袖・長ズボン(これはナンセンスですが・・)などでしょうか。
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